日本区域麻酔学会 第13回学術集会
会長 長坂 安子
東京女子医科大学 麻酔科学分野 教授
日本区域麻酔学会 第13回学術集会へ、ようこそ!
この学会はこれまで、区域麻酔の最先端の医療を日本全国そして世界にむけて発信し、認定試験をとおして学会員の提供する区域麻酔の質を高く均一化し、医療の基盤となる研究発表の場としても、誕生からその重要な働きを成し遂げてまいりました。こうした特色のある学会の年次集会を開催するにあたり、身の引き締まる思いがいたします。
医学の進歩と共に医療も変容してまいりました。
治らない痛みが治るようになり、麻酔の選択肢が大きく広がった一方で、現代の急性期医療では解決できていない、周術期のさまざまな問題が取り残されており、より良い医療に向けた麻酔を提供する私たちにとり、人の体と心の疼痛への挑戦には終わりがありません。
多くの併存症をもつ患者が手術や侵襲を伴う治療・検査を受ける機会が増え、麻酔科医の果たす役割も多様化してまいりました。重症臓器障害合併、患者の高齢化にともなう認知機能の温存、フレイルに対するプレハビリテーションなど、個別の取り組むべき課題も明確化しています。困難に立ち向かう患者さんの安全と安楽を確保し、予後を格段に改善するポテンシャルを秘めた一筋の明るい光が、近年めざましい発展を遂げている「区域麻酔」なのです。
そこで、今回の大会テーマを「そうだ、区域麻酔の原点に戻ろう〜患者のために、自分を磨く〜」として掲げました。麻酔科・ペイン・緩和の学問に加えて、区域麻酔の原点ともいえる解剖学や整形外科学の知識と技術が織り混ざった世界に入りこみ、賢人の知恵を多角的な観点から学び取る機会といたしました。 この学会に参加してくださる方が、自身の区域麻酔を発展させ、技を磨く場として役立てていただければ幸甚です。